山行記 大山(雨降山) 2025.03.30.

山行記

【霧たちこめる山道をゆく】

 私事であるが、ここ最近の個人的な目標として、一月一山(ひとつきいちざん)を目指している。それは50の壁(歳)を超えてから、身体の不調が顕著に感じられるようになったこと、そしてそんな自分の身体の状況を冷静に考えると、この先どれくらい自由(存分)に身体運動を行うことが出来るのだろうか、という老いに対する抗いなのかもしれない。いよいよ自分の死というものがちらつき始め、残りの人生というものに不安や焦りを感じるものの、その事実を受け入れることが出来ずしゃにむに七転八倒しているのであろう。

 私は社会的にしっかりとした大人とは言えないと思っている。未だに大人になんかならねえよ…とか密かに思っている50代である。いやはや困ったものである。

 さて、気付けば3月も最終週となり、前回の登山から一か月以上も時間が空いてしまっていた。危うく一月一山という目標が未達となるところだったが、天候が回復する最終週の日曜日に登山予定を組むことができた。

 今回は息子(4月で9才)と一緒に丹沢山塊の大山(雨降山)へ行くことにした。選定理由は、息子は今年初めての登山となり、大分身体が鈍っているであろうこと。また今回は身体の成長にあわせ、登山靴を新調したため、それほどロングトレイルではない大山周回コースが適当かと思ったこと(新しい靴で疲労度が大きい際は最後の最後ではあるがケーブルカーで下山可能なところも考慮した)。

 そして、今までの親子登山では主に奥多摩の山塊、高尾の山塊で行動していたが、丹沢の山塊は未踏の地(私は12年ほど前に塔ノ岳へ一度だけ登ったことがあるが…)であった事である。

 新宿(小田急小田原線)に乗って、伊勢原駅まで。バスに乗り換えて大山ケーブルに向かう。8時半には大山ケーブル(バス停)を出発、出だし好調だが、天気は曇り。見上げる大山は山腹からガスが覆い山頂は見渡せない…展望は期待できないだろうと覚悟し、こま参道を進む。

 朝いちばんの為、ほとんどのお店がまだ開店前の様であったが、参道入り口の土産屋さんだけ開いていて、色とりどりのコマに目を奪われる父子であった。こま参道は、階段が362段、その間に踊り場が27か所(踊り場といっても通りのように長い通路上のもの)あり、その踊り場が何か所目であるかの識別として、可愛い「こまのタイル」が敷かれている。

 我々もそのコマの数を数えながら、あとどれくらいの道のりかを楽しみながら進んでいった。

 大山ケーブル駅でトイレを済ませ、ウォーミングアップとして女坂を通り、大山阿夫利神社下社まで登る。男坂よりも緩やかなコースとのことであったが、石階が延々と続き、ウォーミングアップにしてはなかなかな道のりであった。

 人気はまばらであったが、阿夫利神社の主要施設である下社はとても立派なつくりで、この社にお詣りするためだけでも登ってくる(ケーブルカーを利用でも)価値があると思えた。お洒落なカフェ風な茶店(ホットドッグやクラフトビールなど販売)、定番の茶屋(温かいラーメンや蕎麦、お団子など販売)とノンビリお詣りも楽しそうだ。

 境内の左手に頂上登山口があり、いよいよ大山山頂目指し登山開始である。週末だからなのか、それとも雨の中休み的なこの日を我々含め、皆が逃さなかったのか、予想に反しかなりの観光客が大山山頂まで登るようであった。

 結論から言うと頂上まで団子状態の登山で静かな登山という雰囲気ではなかった。20丁目の富士見台からの眺望は真っ白であったが、歩み行く大山の山肌は立ち込める霧に覆われ、色彩が薄れたその山容はまるで水墨画の様なとても神秘的な状景であった。25丁目(ヤビツ峠との分岐)を過ぎたころから残雪が少し見られるようになったが、程なく無事山頂に到着した。

 山頂では雲間から青空がのぞいており、暖かな陽当たりの良い場所で昼御飯を食べながら、南方面でしきりに霧が舞い上がり上空で雲を形成している様子をぼんやりと眺めていた。

 大山は相模湾の水蒸気をたたえた風を受け、雨が降りやすい山容であり、これこそが「あめふりやま(雨降山)」と言われる所以なのだという。(注:丹沢大山国定公園 大山ケーブルカーwebより)確かに道中の木々岩々はコケに覆われており、その湿度の高さも特徴として感じられた。

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 昼食後は山頂で記念撮影を撮り、見晴台方面へ下山を開始した。こちらも山頂から整備された木道、階段が続く。山歩きという風情は乏しいものの、登りのコースよりも快適な登山道であり、実に見晴台までの約2.5キロが終始そのような状態であったのには驚いた。

 そして見晴台には公園さながらの木製ベンチ・テーブルが複数設置してあり(別に東屋も一棟あり)、眼前には大山から辿ってきた雄大な山容が一望できる最高な休憩場所であった。

 地図と照らし合わせながら山の尾根、谷を確認し、大山を俯瞰して見る、という遊びを息子としてみたら意外と面白がっていた。

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 見晴台から下社までは大きな上り下りはなく、ほぼ水平にとなりの山筋まで穏やかな登山道をトラバースして行く。道中に二重滝(この時期は枯れていた)、また立派な御神木などの見どころもあるようで、下社までケーブルカーで登って、見晴台までの1.5キロほどを散歩がてらに歩く、という家族ハイキングプランも良さそうである。

 時間にして30分ほど、ノンビリと登山道を歩くと下社の裏側に到着した。

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 14:00過ぎの下社は観光客で賑わっていて、我々も茶店の軒先で焼いているお団子を食べて小休止をしてから、ケーブルカー(下社の裏側に乗り口あり)に乗ってこま参道まで下った。賑やかなこま参道でお土産のコマとわらび餅(水がおいしいから作っているらしく、特に大山の特産品というわけではないとのこと、、)を購入してバス停へ戻ると、ちょうど伊勢原駅行きのバスが停留所に到着した。

【総括】

 今回は朝07:51伊勢原駅着、07:55駅北口にある大山ケーブル行きのバスにのり、08:20に大山ケーブル停留所に到着(バスへの乗り継ぎはタイトだったが問題なく乗車出来た)。こま参道、女坂を経由し阿夫利神社下社に09:32に到着。小休止をしてから09:40に登山開始。11:10大山山頂、昼御飯をとり12;00に下山開始。13:25に見晴台到着、小休止を挟み、14:10に阿夫利神社下社へ戻ってきた。行動時間約6時間 距離約7.9㎞(登り1075/降り1085m 累計)の行動(休憩時間約一時間)。

 歩いてみて感じたのは、短い行程(距離)で1000mほどの高度を上がり下りするため、登山道の傾斜が急であるという事である。登山道は石段、木道など整備されているが、段差が大きく感じるところが多かった印象である。また道幅も然程広くはないため、登山者の行列が続く状態であった。つまり自分のペースで気ままに登るということが難しく感じた。(これは週末の混雑によるものかもしれないが…)

 休憩場所にはしっかりしたベンチが整備され、晴れていれば展望台からの見晴らしも良いだろうこと。また山頂も茶店(温かい蕎麦など販売)があり、昼休憩には申し分ない広いスペース(キレイ目なトイレもあり)があること。それらの要所が良い距離感であることは、家族連れで訪れるには適当なのではないかと感じた。下社の茶店で日中の労を労いノンビリし、帰路はケーブルカーを利用するのも楽しみの一つとしてよいのではと思う。(子供はやはりこの手のアトラクションは好きなのである。)

 今回、天気はすっきりしなかったが初丹沢山塊は良い山行となった。次は隣の塔ノ岳や丹沢山を目指して親子登山を頑張りたい。

山行詳細(備忘録)

  • 丹沢大山国定公園 大山ケーブルカー(WEB)
https://www.ooyama-cable.co.jp/charm
  • 神奈川県ホームページ「丹沢について」のページ(WEB)
丹沢について
「丹沢について」のページです。

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