山塊(奥多摩偏)2026-①

山塊

行動日時:2026.02.14.

 いつも通り、始発にのり7:46奥多摩駅に到着。閑散としている東日原バス停行きの停留所には長蛇の列があり、川乗橋行き臨時バスが運行されていた。川苔山は相変わらず活況であるが、その先の東日原バス停までは閑古鳥が鳴いている。この日は自分ともう一人女性の二人であったが、稲荷岩経由で鷹ノ巣山に行く登山道が閉鎖となっていたため、その女性はバス停へトンボ帰りとなった。

 結局この日も私一人の奥多摩山塊である。

 記録的な雨不足により奥多摩湖は渇水状態であり、即ちその源流も同様に渇水気味なのではと考え、この季節でも比較的容易に沢歩きが出来るのではと想像していた。しかしこの2月(俗にいえば厳冬期なのか)にこの山塊に足を踏み入れたことがなかった為、実際に現地へ行ってその状況を見てみたい、その中で渓を遡行出来るようであれば、また私の知らない時期(季節)の奥多摩の山を感じる事が出来るであろう…と、そのような動機で今回もひたすら林道を歩いて行った。

 懸念点として、先週(2/8)の降雪による積雪状況で、渓相がどのようになっているか…それだけがチラチラと心配事のように脳裡を掠めてゆくのであった。

快晴の奥多摩山塊、稲荷岩が映える

 東日原バス停に到着し、身支度を済ませて山間に目をやると、遠くの山頂付近ではうっすらと雪が残っているようであったが、降雪以降の暖かな気候(陽射し)のおかげであろうか、見た限りいつもと変わらぬ奥多摩の、快晴で素晴らしい景色であった。但し、日原林道に入ってからは陽当たりの良くない北向きの斜面や、路面に於いて積雪、凍結が見られるようになり、特に谷間の沢はしっかりと雪が残っている。

 その寒々とした生命力を感じない状景に、日向と日影の対比による自然の厳しさを感じた。

八丁橋の車止め付近

【白銀の渓】

 富田新道登山口から唐松橋へ降り、長沢谷へ入渓。装備は沢足袋、レッグゲーター、雨合羽。流水の冷たさは感じず、11:30am渇水気味の沢を遡行開始する。

唐松橋下の入渓ポイント

 懸念事項であった入口の滝の左岸高巻きは予想通り、そこかしこに積雪が見られる。まるで新しいルートを見ているかのような、そんな気持ちで自分が辿るであろう道筋を確かめ、岩壁に取り付いた。

半分くらい凍結している入口の滝

 ホールドやスタンスに乗る雪を払い除けながら進んで行く内に、指先の感覚が無くなった。「クライミングあるある」のウォームアップで掴んでいる感覚が無くなる奴だ。大きなホールドを抑え込むように、フェルトソールの沢足袋を雪中にけり込み、足裏がなるべくフラットになるようにしながら、丁寧にバランスを取り、ジリジリと難所をこなしていった。

入口の滝左岸を高巻きした状景

 完全にヤバいとまでは思わなかったが、運悪く滑落するかもしれなかっただろうし、単独行動をしている事自体、危険な行為である事は受け入れるが、自身の能力(体力や精神的な許容)を見誤ってはいないかどうか、正直客観的な判断は難しいと考える。最終的には自分の感覚を研ぎ澄ませ、どう感じるか、ただそれだけを真摯に自分に問うしかないのだろう。

 いずれにせよ、この日予定していたルートでの難所が終わり、気持ちはホッとしたところであった。

入口の滝を抜けると、大雲取谷出会いまで穏やかな渓相が続く

 大雲取谷との出会いまでジャブジャブと遡行をして気付いたことがあった。

 沢の脇に広がる河原の部分は積雪により素晴らしい雪景色である。そしてその上を歩くと雪が踏み締められ、まるで雪原を歩いているかのような歩き心地で正直快適そのものであった。藪山も厳冬期は雪で足元が楽になるというのを聞いたことがあるが、正にこのような状態なのであろうと思った。こうなるとわざわざジャブジャブと沢を歩くのが馬鹿らしくなってきて、積雪のある河原をメインに歩き、ゴルジュっぽくなってきたら沢を歩くということを繰り返し、大きな難所もなく大ダワ林道下の木橋まで長沢谷を遡行した。

 道中、雪原に鹿の足跡が盛んに現れ、図らずも獣が歩んだ道を私も辿っていることに少なからず感動を覚えた。

我も自然の生き物に帰す

 よく見ると丸く大きい足跡などもあり、様々な生き物が往来している様子であったが、この日「獣」と遭遇する事はなかった。

林道から転げ落ちてきたパイロン。人工物は渓の景観にそぐわない(回収し林道まで荷揚げした)

 12:40am頃、木橋に到着。直ぐにタープを設営。前回バッチマン(ロープワーク)の細引きが太く、しっかりと結束出来なかったので、今回は4㎜のしなやかな細引きを用意した。結果、適切な結わえ方が出来、2回目にしてタープ設営に大きな手ごたえを感じた。細かいところでは、タープを乗せるメインロープ(1本)とタープ側面を地面に引くロープ(2本)は荷造り紐を使っているが、それぞれに色付けなど識別をしておくと、袋から取り出した際、設営に戸惑うことが無くなり効率が上がるのではと思う。

雪上タープ(昼飯は曲げわっぱ弁当)

 だれもいない白銀の渓を歩き、広がる雪原でタープを張って飯を食う。だれもいないであろう山奥で、誰にも知られることなく過ぎてゆくこの素晴らしい状景に悠久の時を感じ、とても贅沢な昼食となった。

木橋から大ダワ林道登山口までの登山道にて崩落による要注意箇所あり

 滞在時間は30分ほど、食事を終え、雪上タープを撤収する。テントと違い設営・撤収の容易さこそタープの魅力であろう。手早く身支度を整え、大ダワ林道登山口へ向かう。

 渓から林道を繋ぐ登山道の中間辺りで斜面の崩壊が2か所ほど見受けられた。チェーンスパイクを装着していたが、地面が崩れるところがあり、かなり危うい感じである。この登山道は渓を詰め上がらない時のエスケープになるので、春先に向け新たな要注意なポイントになるであろう。最後の最後で肝を冷やしたが、無事林道に戻り、東日原バス停への帰路についた。(7.5㎞、約2時間の林道歩き)

山岳釣行へ

 次回、この地を訪れるのは3月を過ぎた春めく季節になっているのだろう。渓流釣りも解禁となり、いよいよ釣りも含めた沢歩きが出来ると思うと胸躍る気分である。先ずは大雲取谷出会いで渓泊をして、翌日は大ダワ林道登山口へ脱渓する一泊の山行を計画する。そして渓泊の手際に慣れてきたら大雲取谷を遡行し大ダワへ詰め上がり、雲取山を経て奥多摩へ下山する山岳釣行を実行する。慌てる事なく、一つ一つの未知の疑問や不安を超えてゆく事に主体を置き、新たな世界を拡げていければと考える。

 先ずは釣り券(今年は年券を買うぞ!)や、渓泊で足りてない装備を準備しなくては…(次回へ続く)

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